InfoshareとPowerApps -その1

最近、PowerAppsに関するお問い合わせをよく受けますので、インフォシェアのPowerAppsに関する取り組みをご紹介させていただきます。
Office 365Dynamics 365のスペシャリストとして、インフォシェアはPowerAppsに関しても日々検証を重ね、業務でもPowerAppsで作成したアプリケーションを利用しています。(アプリケーションについては次の記事で取り上げます)
PowerApps20186月のアップデートで大きくそのメッセージングを変えてきました。これまでは「InfoPathの後継となるフォームのソリューション」とか、「Office 365で使う新しいアプリ」、「まるでPowerPointでプレゼンテーションを作るかのように簡単にアプリが作れる」など、様々なマーケティング的表現がなされてきましたが、これまでの”ふわふわ”した立ち位置から比べると、今回の6月のアップデートで、マイクロソフトのPowerAppsメッセージングはかなり明確になったと感じます。 

2つのモデル

6月のアップデートは、下記のスライドで説明されました。

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※Microsoft Buildで提供されているスライドから引用。スライドタイトルのみの訳

 

PowerAppsで作成するアプリは、Buildのセッションでも紹介されたとおり、キャンバス アプリ」と「モデル駆動型 アプリ(Model-driven」の大きく2種類となりました。

1.キャンバス アプリ

いわゆる従来のPowerAppsでいわれてきたのと同じで、Webブラウザで提供される、「PowerApps Studio」上で部品コンポーネントを配置し、デザインを行いながら、まるでPowerPointで見栄えのよいプレゼンテーションを作成するかのように、ユーザーフレンドリーでかつグラフィカルな日々の業務に役立つ「モバイル(スマートフォン・タブレット)用」または「Web用」のアプリケーションを作成します。
既出のとおり、この「見栄えのよい」アプリケーションはSharePoint OnlineモダンUIにおいて、カスタムリストの”入力フォーム”として埋め込むことも可能です。
同様に、作成したアプリケーションは、Microsoft Teamsのタブにも配置することができます。例えば次のような感じになります。2018-07-06_13-07-22
※インフォシェア社内で利用している「同僚に感謝を送る」アプリ。マイクロソフト社がサンプルで提供しているアプリをカスタマイズしたもの。

 

2.モデル駆動型 アプリ

ここが、6月から新しくなったところです。別の呼ばれ方は「PowerApps Plan2」、または「CDS 2.0Common Data Service 2.0)」と呼ばれているアプリケーションプラットフォームです。CDSとは何か、以前からあるCDSとは違うのか、など、書き出したら到底ブログの記事で収まらないほどの情報がありますが、誤解を恐れずに「端的」な言い方をすると、CDS 2.0 Dynamics 365 プラットフォームとなります。最初のPowerAppsとリリースされたCDSは、いわゆるクラウドにあるデータベース ストレージでした。 新しいCDS 2.0は、データベース作成時、Dynamics 365のインスタンスが作成され、データ プラットフォームとしてDynamics 365を利用するようになります。

すでにモデル駆動型アプリの作成をお試しになってみましたか?
最初にデータベースを作成する際、なぜ「通貨」と「言語」を聞かれるのか不思議に思われたことはありませんか。言語はまだしも、なぜ「通貨」を選ばなければならないのか?2018-07-06_19-42-50
それは、CDS 2.0Dynamics 365プラットフォームだからです。Dynamics 365は最初のセットアップ時に、最低限組織の基軸「通貨」と「言語」を設定する必要があります。
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本記事で詳細を言及するスペースはありませんので割愛しますが、Dynamics 365は複数通貨、多言語に対応するからこそ、内部構造的に基軸通貨とベース言語のあらかじめの設定が必須になります。

さて、ここまでの話を整理してみましょう。

PowerApps20186月時点で、組織で必要となるアプリケーションを簡単に作成できる「キャンバスアプリ」と、プラットフォームとしてダイナミクス365ベースのCDS 2.0が利用できる「モデル駆動型アプリ」の大きく2種類があります。
・ Office 365のユーザーはキャンバスアプリを作成できるライセンスが含まれています。
・ Dynamics 365のユーザーはキャンバスアプリとモデル駆動アプリの両方を作成できるライセンスが含まれています。(一部のライセンスを除く)
・ Office 365を持っていない、またはOffice 365のユーザーであっても、「プレミアム コネクタ」(例えばSafesforceとの接続など)を必要とする場合は、「PowerApps プラン1」(月額¥760/1ユーザー)
・ モデル駆動型アプリを活用したい場合は、「PowerApps プラン2」(月額¥4,350/1ユーザー)2018-07-09_12-23-25

Plan2、「4350円! そんなにするの?! 高い!!」と思われましたか?

Dynamics CRMDynamics 365を早い時期から活用されている方であれば、Dynamicsは「XRM」プラットフォームとしても利用できることをご存じだと思います。CRMは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」であり、顧客のデータを中心にサービスを展開していきますが、XRMとは「顧客」にかかわらず “X” 部分を好きに定義し、その「関係管理」を行う考え方です。例えば「学校」の生徒管理・教職員管理・成績管理・シラバス管理システムなども”XRM”として設計できますし、「不動産」の建物管理、引っ越し業での利用などDynamicsで構築するXRM事例は数多くあります。

例えば、不動産の場合などはXRMのイメージが沸きやすいでしょうか?
「顧客」「オーナー」「建物」「契約」「見込み客」「修繕計画」「メンテナンス記録」など様々な「点」情報を相互に関連付けて短時間で一つの統合システムとして構築できます。DynamicsXRMでこの不動産管理システムを作成し運用している例は多くあります。スクラッチで一から開発することを考えると、容易にデータどうしの”関連性”が作成できるDynamics、さらにワークフローやレポート機能などが標準で整っているDynamicsXRMのプラットフォームとして採用するのは合理的な考え方です。
これまでは、XRMであっても、Dynamics CRMDynamics 365の通常のライセンスを購入しなければなりませんでした。もっともよく用いられるCE(カスタマーエンゲージメント)プランは「月額¥12,510/1ユーザー」です。
そう考えると、PowerAppsPlan2は同じプラットフォームでありながらも、約3/1の金額で提供されていることになります。堅牢なDynamics 365をプラットフォームとして、キャンバスアプリとは異なるしっかりとした「データ関連性」を必要とするXRMアプリケーション、ビジネスロジックや各種条件を加味したシステムの実現ができます。

逆に考える方もいるかもしれません。「CRMがほしいのでDynamics 365を検討しているが、もしプラットフォームが同じならば、PowerApps Plan2で作成する方が安くなるのではないか?
確かに、PowerAppsCRMを作成できなくはないでしょうが、そこは明確な機能差が存在します。CRMとして使うことを考えているのであれば、Dynamics 365を購入した方が、時間も手間も大きく異なります。そして決定的に「機能」が異なっています。“プラットフォームが同じ”=“機能も同じ” ではありません。

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※Microsoft Build資料より引用

 

次回の記事では、インフォシェアでのPowerAppsの取り組みをもう少し具体的に紹介させていただきます。

Dynamics 365 とサポート案件 -4

前回の記事ではいち早く顧客の問題を解決するための「サポート情報」や「キュー」といったDynamics 365の持つ便利な仕組みを説明しました。

Dynamics 365のベースとなる思想は「CRM」なので、CRM機能やSFA実現、営業案件の管理などが製品の主機能として注目されがちですが、”サポート案件の取り扱い” も上手に行うことができます。標準UIは、手元で「問題を解決するためのすべての情報」を把握することができるように設計されています。

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案件の内容、顧客の契約状況、解決させるために行った活動の記録、関連あるサポート情報記事、最近の別サポート案件、ソーシャルメディア情報(例えば不具合についてTwitterなどでネガティブな発言やポジティブな発言をしているなど)が一つの画面に集まってきます。

ほかにもDynamics 365の標準機能で「目標(Goal)」という機能があるので、「この契約」の顧客は「最初のリクエストを受け取ってから1時間以内」に初期返信をしなければならないなどを対応品質を保証するために必要な情報を追加することができます。

サポート契約の管理と連動するのも嬉しいところです。問題解決までにかかった時間を契約時間から引いていかなければなりません。ExcelやSharePointのカスタムリストなどで契約管理をしている企業様も多くありますが、Dynamicsで適切に管理できます。契約時間やインシデント数が少なくなれば、営業担当と連携して、追加購入を進めることもできるでしょう。解決までに要した時間も記録され、請求可能時間とは分けて管理できるので、社内の工数原価を知るために利用することも可能です。

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なお、契約管理に関しては、2つの機能があります。

権利(Entitlement)と契約(Contract)です。「契約」は従来から存在している契約管理エンティティです。一方「権利」は2017年7月のアップデートでDynamics 365に追加され、新しい「統合ユーザーインターフェース」で主に利用します。このアップデートでマイクロソフトは次のメジャーバージョンリリースで「契約」を廃止し、後継である「権利」を機能として残す旨をすでに発表しているので、これから利用される方はご注意ください。

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どちらのエンティティも時間、もしくはインシデント数でサポート契約を定義し、管理することが可能です。

ExcelやSharePointリストでは実現しがたい別の機能もあります。

機械が故障した際の修理などを想像してみてください。一度修理を行ってその場では治ったように見えても、数日使うとまた同様の問題が発生するなどの経験をしたことはありますか? Dynamics 365のサポート案件は、一度案件を「クローズ」しても、必要に応じてすぐ「再オープン」することができます。これまでどのようないきさつで問題が取り扱われたかが記録されており、その内容を引き継いで再オープンできるので、引き続き契約の管理なども行いやすくなります。

サポート案件から「子サポート案件」を派生させることも可能です。契約や提供するサービスの内容によっては、細かく案件を分割しなければならないケースがありますが、そのような連結された案件管理も可能です。案件の記録や契約の管理以外にも、Dynamics 365には「Field Service(フィールドサービス)」アプリケーションが用意されています。主に、フィールドつまり「外に出て」サービスを提供する担当者が便利に利用することができるアプリケーションです。最も適切な担当者を現場に派遣するためのリソース配分や、担当者が移動する際のナビゲーション機能など便利な機能が満載です。
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現場で使われることを想定し、モバイル デバイス(タブレットなど)にも対応しています。
機会があればこのフィールドサービスについて本ブログで取り上げたいと思います。

 

Dynamics 365の顧客サポート機能、顧客に対して高品質なサポート機能を提供するのに十分な機能を持っています。このようなシステムを一から作ったり、Excelなどで管理するのは大変な労力と金額がかかります。すぐに始めることができるDynamics 365,ぜひ利用検討されることをお勧めいたします。

そして、顧客サービスについてもっと知りたい方は、インフォシェアの定期トレーニングDynamics 365基礎」で実習を行いながら学習することができますので、ご参加をご検討ください!

Dynamics 365 とサポート案件 -3

前回の記事では、サポート案件を起票するところを取り上げました。
電話、メール、Webサイトなど顧客からリクエストが入る可能性のあるそれぞれのソースに対してDynamics 365が対応できるよう設計することが大切です。
顧客からの要請に応じてサポート案件を起票後、次に問題解決のためのアクションを起こします。代表的な2つのアクションを取り上げてみましょう。

アクション1:すぐに解決できるよう、既定のサポート情報を提供する
顧客はできるだけ早く問題を解決したいと願っているはずです。そのために、顧客自身で試すことができる ”修正手順” などを記した電子メールを送信することはよくあります。このシナリオで便利な機能がDynamics 365の「サポート情報記事」です。

ちょっとややこしいのですが、Dynamics 365 Customer Engagement 9.0の環境では、2種類の「記事」機能が存在します。
一つは昔から用意されている「記事」(エンティティ名:KbArticle)。
もう一つが「サポート情報記事」(エンティティ名:KnowledgeArticle)です。
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「記事」は既存の ”サービスアプリケーション” で新しい「サポート情報記事」は「統合インターフェース(Unified Interface)」の顧客サービスハブで利用することができます。利用するUIによって利用する機能の選択肢が変わるので注意が必要です。

「記事」はテンプレートをもとに作成します。あらかじめ用意されている標準の記事テンプレートのほかに、企業が自身でテンプレートを作成し活用することもできます。
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情報を記録するという目的は今でも十分に果たすことができる「記事」ですが、機能設計が古く自由度が低いところが問題です。顧客に対してビジュアルや映像を参照したわかりやすい記事(リッチなコンテンツ)を作成するのに難があります。また、モバイル端末などに最適化させることもできません。

新しい「サポート情報記事」はテンプレートから作成するのではなく、用意されたエディター内で自由にコンテンツ作成が行えます。プレビュー機能も準備されており、PC以外のディバイス、例えばスマートフォンやタブレットに向けたコンテンツを作成することができるため、よりリッチなコンテンツを作成できます。そのほかにも「翻訳」など多言語に対応した機能も準備されています。
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どちらの記事機能も目的の情報が見つけやすくなるよう、「タグ」(検索キーワード)を設定します。サポート情報記事は、フルテキスト検索、あいまい検索など多くの検索オプションが用意されているのですぐに情報を検索し結果を表示することが可能です。
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必要な記事を見つけたら、あとは活用するだけです。
例えばOutlookでメールを作成する際、サポート情報記事の内容を挿入するなど便利な使い方ができるようになります。この機能は本当に便利ですので、利用されたことのない方は是非お試しください。数クリックで、正確で、組織が公式に認めた記事コンテンツをメール内に挿入し、あとは前後の文章を書いてすぐにメールを送信できます。それも、同一ウィンドウ内で作業が完結します。
Dynamics 365とOutlookが連携すると、これほどまでに作業時間が短くなるのかと多くのDynamics 365ユーザーが感動するところです!
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アクション2:サポート案件を解決するよう、担当者をアサインする
担当者をアサインするのに便利な機能が「キュー」です。
キューとはなんでしょうか?
キューは「」のようなものだと考えるとわかりやすいかもしれません。オペレータや一次窓口の担当者は「サポート案件を起票」し、案件を直接誰かに割り振るのではなく、「キュー」の箱の中に入れます。
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あとはキューの箱の中から、準備ができた担当者が順次案件を受けていきます。(キューからアイテムをピックする)
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なぜキューを使うのでしょうか?
直接担当者に割り振った場合、もしその担当者の処理能力が遅かったらどうでしょうか? もしその担当者が抱えきれないくらい案件を持っており、すぐに取り掛かれないとき顧客に対して迷惑が掛かりませんか?
担当者が休暇を取得しなければならないときどうでしょうか? AさんとBさんにスキル差や経験の差がある場合はどうでしょうか?
Dynamics 365では直接担当者に案件を割り振ることもできますが、キューに入れることにより、もっとも適切な人材が、最も適切なタイミングで案件処理を開始することを期待できます。

キューは目的ごとに複数作成できるため、例えば職能別、契約別に作成することもできます。プレミア サポート契約を結んでいる顧客はキューAへ。 通常サポート契約の場合はキューBへなど柔軟な使い方が実現します。そして、キューAには経験豊かな高レベル エンジニアを割り当てておくことができるかもしれません。
担当者も、キューの箱の中を見渡し、自分が取得するキューを選択できます。これにより、各担当者が最も得意とする案件を ”自分で選択” ができるため作業効率も上がります。

良いことばかりのように見える「キュー」ですが、もちろん問題点もあります。それは、キュー内で「受け取られないまま放置される」サポート案件が発生することです。インフォシェアでDynamics 365のご相談をいただくときも、この問題を心配されているお客様が多いように見受けられます。
この問題を防ぐために、管理者は定期的にキューの中身を確認し、長期間放置されている案件が存在しないか確認する必要があります。放置されているキューを確認後、あとは組織のルールに従って、最も適切な担当者に「直接」割り当てることを検討できます。
「確認」というと難しいことのように聞こえますが、Dynamics 365の標準レポートで「放置されているキューの状態」を表示することができますし、ワークフローなどを併用することも考慮できるでしょう。

次の記事では、サポート案件のクローズについて取り上げます。
Dynamics 365 Customer Engagementの「サービス」機能については、インフォシェアの「Dynamics 365基礎」トレーニングで演習とともに学習可能です。ぜひ参加をご検討ください!