先日ご質問を受ける機会があったので、この記事では ”Dynamics 365におけるファイル共有” について取り上げます。

Dynamics 365 (Customer Engagement)では、幾つかの方法でファイルを保存・共有することが出来ます。代表的な方法としては下記の二つがあげられます。
※ここでいう ”ファイル共有” は、チームメンバーや同僚などと情報共有する目的の共有です。

方法1.メモ(NOTES)を利用する

方法2.SharePointと連携させる

それぞれについて少し考えてみましょう。まずメモから取り上げます。

様々なエンティティのフォームで「メモ」は表示されます。例えば営業案件フォームを開き、中央のインタラクティブウォールを見ると「投稿」「活動」「メモ」が表示されており、その中のメモタブを開くと、簡単なメモと共にファイルの添付が可能になっています。

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メモへのファイル添付は気軽に利用することが出来る機能で、多くの方が利用しているのではないでしょうか。とはいえ、このファイル添付機能に問題が無いわけではありません。例えば次のようなご質問を多く受けます。

1.大きなサイズのファイルを扱うことが出来ない

既定の設定では、5Mbまでのファイルしかアップロードできません。

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最大サイズ5Mbの制限は、設定により変更することが出来ます。「設定」→「管理」の中の「システムの設定」で「電子メール」タブを開きます。タブの中の「添付ファイルのサイズ制限の設定」で変更可能です。
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設定場所が電子メールの項目のため、電子メールに対する添付ファイルのサイズ設定だけと考え、添付可能ファイル サイズの変更が出来るのを知らないまま利用されている方もいるかもしれません。この設定はDynamics 365 (CRM) Onlineでも、オンプレミスのDynamics CRM、Dynamics 365でも同様に行うことが出来ます。(最大128Mbまで、以前のバージョンでは32Mbまで)
システム管理者権限があるユーザーがこの作業を行います。

2.ファイルが添付されていることに気がつきにくい、見つけられない

ファイル添付はあくまで「メモ」として扱われているので、該当のタブを開かないとわからないですし、“プレビュー機能” など最近の機能がついているわけではないので使い勝手がいまいちです。昔からCRMを使っていらっしゃるユーザーは「プレビューなんて・・」と思われるかもしれませんし、「開いて中を確認するのが、そんなに大変?」と言われる方もいるでしょう。最近の仕事環境は、多種多様にわたるディバイスを、目的に応じて、業務形態に応じて使い分けるのが主流なので、いざ開くために対応するクライアントアプリケーションの準備が求められると、どうしても生産性が下がってしまいます。

メモに添付したファイルは “高度な検索” で検索することも可能です。例えば次のように、全てのメモにテンプレされているファイル一覧を出したい場合、ファイルサイズが0以上の(全てのファイルを表示する)といった形で表示させることが出来ます。

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とはいえ、ユーザーがどこに何をアップロードしたのか、ある程度意識していないと、なかなか検索で探し出せるとはいっても現実的ではないかもしれませんね。

3.ディスク コストが高い

これは、特にOnlineを利用しているユーザーには重要な問題です。Dynamics CRM Online、Dynamics 365 (Online)は契約にもよりますが、ディスクの容量が設定されています。試用版のDynamicsでは5Gb、一般的な契約テナントでは10Gbです。

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ファイルがユーザーによって無作為に追加されると、簡単にディスクのサイズが逼迫されます。10Gbの契約容量を超えても、追加契約を行うことは可能ですが、SharePoint Onlineなどと比較すると、ディスク容量あたりの単価は非常に高くなってしまいます。

技術的な話をすると、Dynamics 365オンプレミスで添付されたファイルはデータベースに格納されます。一口に添付ファイルと行っても、添付される場所とエンティティによって格納先が異なりますが、例えば「メモ」に添付されたファイルはSQL ServerデータベースのAnnotationBase(dbo.AnnotationBase)テーブルにエンコードされて格納されます。

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どこかのファイルサーバーにでもファイルオブジェクトとして書き出されていれば、メンテナンスもしやすいのですが、データベースに格納されているため、データベースとしてのバックアップやリストア手法を計画する必要があります。特化されているツールなどが少ないので、システム運用者としては大変なところかもしれません。たとえオンプレミスでディスク容量が十分にあったとしても、継続的に肥大化していくデータベースのメンテナンスは骨の折れる仕事です。

4.ファイルを “共有” するのに必要な機能が準備されていない

一般的に、ファイルを共有するためには、簡単にメールなどで共有するためのリンク取得機能や電子メール添付機能などがあると便利です。また、万が一間違った変更が加えられたときに「戻せる」機能や複数人で編集するためのチェックイン、チェックアウト機能などが必要とされることが多いですが、残念ながらDynamicsの“添付”にはそのような機能はありません。

ベストプラクティスは?

では、解決策があるのか? 現時点では「ファイル共有」を目的とするのであれば、Dynamics 365 + SharePointの連携さが一番良いかもしれません。Dynamics はSharePointと組み合わせてファイル管理を行うことが出来ます。Dynamics 365 Onlineであれば、ライセンスにSharePoint Onlineの使用権も含まれています。
設定も、現在のバージョンは(オンライン、オンプレミス共に)サーバー同期が可能になり、URLを指定するだけですぐにSharePoint Server側にドキュメントを格納することが出来ます。この場合、“カジュアルに添付”ではなく、“意識して”SharePoint側にドキュメントを置く作業が必要となりますが、低ディスクコストの実現やファイル共有に求められている機能の提供などDynamicsだけではなしえないファイル管理が可能になります。

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このあたりの情報はインフォシェアが開催している「Dynamics 365応用」トレーニングでも知ることが出来ます。是非ご参加ください。

※参照:https://msdn.microsoft.com/en-us/library/gg334587.aspx